About aonorishimeji

雑誌『月刊タニシ』で連載中の漫画作品、「最強巻貝伝説」シリーズの作画を担当している漫画家です。時折LINEスタンプを作ったりする他、イラスト、文章などの制作などもしています。 2015/4〜 noteにて「最強巻貝伝説ZERO」を全話無料配信形式で連載中。 (CRITERION FREAKでも全部読めるようになりました!万歳!) https://note.mu/getutani ※2015/9/27放送の日本テレビ「ピース又吉のふみコミ苑」にて 雑誌『月刊タニシ』を取り上げていただきました! 万歳!万歳! 青のりしめじは現在作画、イラスト、文章、ネーム原作など、 漫画に関わるお仕事を媒体問わず広く募集しております。 何かありましたらお気軽にご連絡ください。 こちらより追ってご連絡差し上げます。 →tukamal1056@gmail.com aonorishimeji: japanese manga artist, sometimes illustrator. contact: tukamal1056@gmail.com twitter: https://twitter.com/tukamal1056 pixiv: http://www.pixiv.net/member.php?id=2661000 BOOTH: https://aonorishimeji.booth.pm/ suzuri.jp: https://suzuri.jp/aonorishimeji

京都探訪記 その2 「八坂神社」


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八坂神社は京都の阪急河原町駅、京阪祇園四条駅から降りてすぐ、円山公園の裏(表?)にある神社で、

おそらく京都を代表する神社のひとつである。

もう一方の平安神宮も近くにあり、ここから歩いて30分ほどで着くことができるが、

平安神宮が何やら神聖な感じがして、神社というよりは名前の通り平安時代の文化を今に伝えている遺産的な感じがするのに対し、

この八坂神社はもっと京都らしい、神社が町と溶け合っている風景の一つとしてそこに存在している感じである。

実際休日に行っても観光客でいっぱいということはあまりなく、日曜日の昼間の準急みたいに境内は比較的空いている。

平安神宮のような記念写真を撮りまくりといった活気もあまりなく、どこか寂れた感じのする円山公園同様、

バミューダトライアングルのように喧騒が切り取られた空白地であると言ってもいいだろう。

その分見るところも少ない(気がする)。

 

今回この記事を書くために取材してみてわかったことだが、

境内にはなぜか祇園の水というペットボトルの自販機が置かれている。

 

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祇園水と書かれており1サイズで自販機の上下の列をすべて埋めているあたりに自信のほどが伺われるが

(しかも1個売り切れている)

京都のコンビニなどに置いている商品ではないことからここオリジナルの商品である可能性がある。

実際販売している自販機はお守りなどを売っている建物の横にひっそりと建っていて、

その目立たずひっそりな、

でも訴えるべきところは全部訴えてるところがなんとも京都らしいいやらしさに満ちている。

僕も思わず一本買いかけたが、

未だにこういう水の味の違いを理解できたことがなく、理解できても水は水なので

今回もどうせお金の無駄に終わるだろうと思い買うことはなかった。

※境内のどこかに湧き水があるようで、その水だそうです

 

 

八坂神社の事も少し調べたので書いてみる。

 

Wikipedia及び神社の公式サイトによると建立は諸説あるらしく、

もともと「感応院」「祇園社」と呼ばれていたのが

1868年の神衹官達の際に名称が現在の名前に変更された。

全国の八坂神社の総本山的位置付けの神社であり、祇園祭の中心としても知られている。

 

とかなんとか。。

 

ようするにやはり京都を代表する神社の一つだということなのであろう。

 

この神社の裏手にある円山公園のこともいずれこのシリーズに書こうと思っているが、

この神社も円山公園も最近は外国人観光客が増加したためか、

お祭りでもないのに参道にしょっちゅう屋台が出ている。

どれもあまりおいしそうではなく、また値段も500円というお祭り価格のものが大半なので、

どうしてフツーの日曜日にそんな金払ってイカ焼きを食べなくてはならないのかと思っていたが、

よく考えたら観光客にとっては日本にいることが海外旅行というお祭りなのだから、

そこで訪れる寺社仏閣にこういったハレの日みたいなオーラが漂っているのは

わざわざその日に飛行機を予約しなくて済むので便利なのかもしれない。

最近は茹で牡蠣とかいう京都のどこに縁やゆかりがあるのかわからない屋台も出現しているが、

これもよくよく思い出してみれば錦市場には牡蠣の専門店らしき店があるので、

もしかするとそこから買ってきて並べているのかもしれない。

また参道のはし、本殿へのゆるい階段になっている狛犬のそばにあるたこ焼きは

いつも人が並んでいて、金髪の外国人の方が多くたこ焼きを召し上がっている。

あれももしかするとおいしいのかもしれない。

円山公園の園内にもとんこつたこ焼き(これも500円)の移動車販売が止まっていて、

そこも金額で躊躇しているがもしかするとおいしいのかもしれない。

世の中はおいしいのかもしれないものばかりである。

いつか大金持ちになったらそういう買い食いもやってみたいものである。

 

 

そろそろ書くネタがなくなってきた。

この取材に行った日は11月半ば、

日が暮れるのが早くなり始めた頃で時刻は5時半ぐらいだった。

境内にはたくさんの人がいて外国人観光客は皆それぞれ数人から2人のグループだったが、

一人だけやたらいかつい顔できゅうりだかなんだか

そんな屋台のものを食べて歩いている白人のおじさんがいた。

一度発見するとその哀愁の漂いっぷりは尋常ではなく、

どうして一人でいるのか、

なぜその食べ物のチョイスなのか、何でそんな悲しい顔をしているのかなどなど、

観察すればするほど頭の中が「?」でいっぱいになる不思議なおじさんだった。

正直写真を撮ることも憚られたが、

きっと家族と別のところを見て回ってるのか、

家族がホテルで休憩している間近くにあるこの神社をちらっと覗きにきたのか、

そんなところではないかと思われる。

 

僕も海外に行くとこういうふうに見られるのかもしれない。

イギリスにThe Fallのライブを見に行くのが夢だが、

その時は誰かと一緒に行った方がいいのかもしれないなと少し思った。

そんな11月の八坂神社であった。

 

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ライター:青のりしめじ(http://www.aonorishimeji.com)

西田辺の文化棚から 「Steve Winwood / Steve Winwood」


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「Steve Winwood」は1977年に発売されたイギリスのロックバンド、Trafficのボーカリストの1stソロアルバム。6曲しか入っていないのでメディアによってはEP扱いをされていることもあるが、正直あまりこの人のこともTrafficのこともよく知らないので個人的にはどうでもいいと思っている。Trafficは60年代末から70年代にかけて流行った、当時のロックバンドにありがちな田舎のおじさんがトラクター乗って畑耕しながら作ったみたいな曲ばっかりやっていたバンドで(偏見)、それでも当時は英国出身で全米ナンバー1を取ったり、エリック・クラプトンとBlind Faithというバンドを結成したりするほどの人気バンドだったようである。実際レコードショップに足を運ぶと1枚100円のワゴンの中にすらそのアルバムを見かけることがあるので、おそらく当時としてはビリー・ジョエルばりに旋風を巻き起こす存在だったのだろう(レコード屋の100円ワゴンは名声の証である)。この作品はバンドが解散してから3年後に作られたアルバムで、ソロアルバムの話自体はプロデューサーのChris Blackwellに1969年頃から打診されていたものの、バンドの活動休止や再結成、解散など様々なゴタゴタに巻き込まれて制作が頓挫。何度かの録音メンバーの変更や音源自体の録り直しを経て77年の6月にようやく発売された。作品は全編ブライアン・オーガーやシンプリー・レッドのような、英国産ブルーアイドソウルの香りをふんだんに感じさせるアーシーかつ根暗な作風になっており、Steve Winwoodの魔女狩りの生き残りのような儚く寂しいボーカルが、抑え目ながらもファンキーで温かみのある演奏に支えられてルーツ感とはまた違う独特の侘び寂びを醸し出している。それには77年という、ディスコにいくには中途半端、モッズというにはやや時代遅れという時代性も大いに寄与しているようで、アルバムのプロデュースにも「カーペンターズが流行ってるし壮大なストリングスでも重ねてみよう」みたいな乗っかり感がなく、それがこのアルバムを特定の音のイメージから回避させることに成功しているようである。厳密に言うとそういったイメージもそこかしこにちらほらと顔を覗かせてはいるのだが、一度Winwoodのボーカルが音に乗るたび、そういったイメージがすべてセピア色の、侘び寂びの世界に退行してしまうのである。最近の「こち亀」を読んでいると、案外時代の流行を気にかけているネタのチョイスに初めこそ関心を覚えるものの、結局絵柄がいつものこち亀なので、読んだ感想も「いつものこち亀」になるという、あの現象によく似ている。(※アルバムのプロデューサーChris Blackwellはアイランド・レコード創設者、つまりレゲエを世界に広めた人なので、このアルバムのベースやドラムの音処理にもどことなくレゲエ風の空気感が漂っている。それもこのアルバムの”わびさび”に大きな影響を与えているのかもしれない)また、このアルバムがリリースされた77年という時代はクラッシュが『白い暴動』を出し、セックスピストルズが全盛期を迎えていたロンドン・パンク元年で、この人ももちろんイギリス人なのでリアルタイムでその現象に遭遇しているはずである。それでいてこの仕上がりはやはり存在自体が侘び寂びの人なのだろう。最後に音楽的なことを少し付け足して書くと、このアルバム全曲でドラムを担当しているAndy Newmarkと数曲でベースを担当しているWillie Weeksは名コンビとして知られているらしく、2人とも1曲目「Hold On」のイントロから素晴らしい演奏を聴かせてくれる。彼らの演奏を聴くためのアルバムといっても間違いではないだろう。

ライター:青のりしめじ(http://www.aonorishimeji.com)

最強巻貝伝説ZERO 第7話「アフリカから来た英雄」


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原作:三輪一樹より
どうもお久しぶりです。
最強巻貝伝説最新話いかがでしたでしょうか?
最近ふと思うことがあります。
この漫画を読んでる人は果たしてどんな人なんだろうか?
すごく気になります。感想とかすごく聞いてみたい。
まあそんなことはさておき、ここ1か月くらい月刊タニシのテレビ取材依頼が
やたらときます。一体どうなってるんだ?
あ、今年一年この漫画を読んでくれた皆様ありがとうございました!!
青のりしめじ先生の次回作に乞うご期待!!
じゃなくて、来年も最強巻貝伝説をよろしくお願いします!!

画:青のりしめじより
 ハロージャパニーズピーポー!

作画の青のりしめじです。私生活ではバイトも辞め、完全なるニートに次元上昇したので毎日何もせずネットサーフィンしながら漫画を描くだけという日々を過ごしています。まるでタニシになった気分です。メリークリスマス!!

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広報部:阪口
みんながんばった。

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西田辺の文化棚から 「Sit Down Young Stranger / Gordon Lightfoot」


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「Sit Down Young Stranger」は1970年にリリースされたカナダのシンガーソングライター、Gordon Lightfootの6枚目のアルバム。Randy Newmanがアレンジャーとして参加している。収録曲の「If You Could Read My Mind」がヒットした為、そのタイトルでもリリースされており、Apple Musicではそちらの名義で登録されている。全体的にこじんまりとしたこの時代特有のシンガーソングライターのアルバムといった仕上がりで、これといった特徴もないのだが、その無個性でいつでも聴けるあっさりとした70年代感が今の肌寒い季節にちょうど良い。Gordon Lightfootの歌声は中音域のバリトンで、少し翳りはあるものの暗さよりは穏やかさの方を感じさせる。歌い方も丁寧で、かといって心の底から感動するほどクオリティが高いわけでもない点にも好感が持てる。作品としてめちゃくちゃクオリティが高いわけでもなく、後半に行くに従ってだんだんと曲調に統一感がなくなっていくタイプのアルバムなのだが、その点もいかにもこの時代の作品っぽくて味わいがある。調べてみるとA面とB面で主要なアレンジャーが違っていて、A面の曲はほぼRandy Newmanがアレンジを担当しているのだが、それがB面ではNick DeCaroに変わっている。このアレンジの微妙な雰囲気の違いがアルバムの統一感を無くしている。A面はLeonard Cohenと「Nashville Skyline」のBob Dylanを足してNeil Diamondで割ったような世界観なのだが、そこにB面になった途端カーペンターズかなんだかよくわからない凡庸さが入り込んでくる。中でも雰囲気を壊しているのがヒット曲の「If You Could Read My Mind」のアレンジで、この曲にだけ入っている少し喧しめのオーケストラが、それまでギターと歌でしみじみ聴かせてくれていた雰囲気を次は「Yesterday Once More」なのか?くらい崩してしまう。またB面は「If You Could Read My Mind」のシングルのカップリングみたいな曲も多い。しかし聴きやすさという点から考えると地味なアルバムにちょうどいい起伏ができているとも言え、この辺りは好みの問題なのかもしれない。いずれにせよこのような音楽に聴きなじみのない人が聴いたら全曲同じに聞こえるアルバムであることは間違いないだろう。決して名盤とも言えない作品なのかもしれないが、この全体にみなぎっているGordon Lightfootとかいう人の風情がいい作品である。A面2曲目のクリス・クリストファーソン(『沈黙の断崖』のラスボスの人)のカバー、「Me And Bobby Macgee」が◎。

 

 

ライター:青のりしめじ(http://www.aonorishimeji.com)

京都探訪記 その1 「日向大神宮」


日向(ひむかい)大神宮は京都でも最も古い神社に数えられる神社で、
名前の通り宮崎の日向(ひゅうが)、高千穂の峯の神蹟から神霊を移して造営されたと伝えられている。

応仁の乱で一度焼け、江戸時代に近隣住民の有志によって再建されたそうだから、少なくとも数百年の歴史はあるわけだ。

京都の神社は寺とは違い、平安神宮などの一部の例外を除けばこじんまりとしたところが多いが、
ここや霊山護国神社など、山の上に位置する神社はかねがね大きく、歴史の古い神社が多いようである。

 

11720128_855046584574779_1726720563_n(地下鉄蹴上駅近くの鳥居をくぐって10分ほど参道を登った途中の分かれ道。
右の道を奥にさらに20分ほど登る)

この神社の特徴はなんといっても八坂神社など他の京都の神社に比べ
ぐっと装飾を抑えた質素な佇まいにあるだろう。
よくある朱色の鳥居に派手な本殿といった京都の一般的な神社のイメージとは一線を画す、
山奥にひっそり佇んでいる感じの神社である。
実際人でごった返す平安神宮からもたいして距離は離れていないのだが、
休日の昼ごろに行っても境内は非常に閑散としており、あまりの静けさに場所によっては恐怖を感じる瞬間すらあるほどである。社殿のボロボロさもその雰囲気に拍車をかけている。思えば宮崎の霧島山麓にある神社もこのような質実剛健な佇まいのところが多いので、
ここもそういうイメージに沿って造営されているのかもしれない。
(単に参拝客が少なくて社殿の修繕費がまかなえていないだけかもしれない)

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天照大神が祀られているからか境内には天の岩戸という、
数メートルの奥行きにトンネルのような穴が開いた巨大な岩があり、
中にも小さな社があって神社のプチ名所みたいになっている。
後日Googleで検索したところ、この天の岩戸はパワースポットと呼ばれていることがわかった。
あと中は真っ暗で電気もないので、夜中に穴の両側から挟み打ちされると死ぬしかないようなところである。

また境内の一番高い山の上には伊勢神宮参拝所という場所があり、
伊勢神宮の方を向いた鳥居が山の上のほんの僅かな隙間に建っている。
わざわざウグイスが鳩みたいに飛び交う獣道を歩いて登ってみたが、
感想としてはこれなら伊勢神宮行った方が楽だわというものであった。
誰も賽銭の回収に来ないのか、鳥居の周りには小銭が散乱していてそのままになっていた。
今伊勢という言葉を聞くとパルケエスパーニャが浮かぶ世代の僕だが、
大昔の人にとってはこれが伊勢神宮であり、近鉄電車もない時代は行くのに大変な労があったのであろう。

他に見所として、地下鉄蹴上駅の方から小さな鳥居を登って参道を登っていく途中、
イノシシ注意の看板とともにかつてこの神社がそれなりの観光地であったことを思わせる山荘の跡や、
文豪が暮らしていそうな木造りの家が廃墟的に立ち並んでいるのだが、その風情がなかなか見ものである。
iphoneがあればどこからでもいけるが、どの道20分ほどの山登りを強いられるので、
めんどくさい人はわざわざ行かなくてもいいと思う。(本殿の写真は撮り忘れました)

ライター:青のりしめじ(http://www.aonorishimeji.com)

日本でのスチームパンクシーン


スチームパンクとは1980年代に作られたSFのジャンルの1つで、19世紀に発達した蒸気機関をモチーフにしています。蒸気機関は19世紀、産業革命の発展と共にその主要なエネルギー源として、当時ヴィクトリア朝と呼ばれる時代だったイギリス、そして西部開拓時代を迎えていたアメリカなどで蒸気機関車など数多くの機械に使用された時代を象徴する科学技術で、後に電気やディーゼルエンジンなどといった新たな科学技術に主流の座を奪われるまで、100年近くに渡って人類の進歩に貢献しました。そんな蒸気機関や当時の文化風俗の、現代からみるとレトロでカッコいいデザインをSFの要素としてフィーチャーしたのがこのジャンルで、スチームパンクの”スチーム”は蒸気から取られています。

 

 

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​Steampunk Hunter by vita(Plauen,Germany)
http://steampunker.de/miete-kauf/show/steampunk-hunter-out01004/#.VZy-Xu3tlHw

 

 

 

スチームパンクという造語は元々はサイバーパンクというジャンルから派生した19世紀が舞台の空想歴史ファンタジーを描いた作品を示す言葉として作られた言葉だったのですが、今ではそういった作品に登場する架空の蒸気機関装置、例えば蒸気で空を飛ぶ飛行船や、蒸気式のガトリングガンやライフル、ゴーグルにコンピューターといったガジェットそのものにもスチームパンクという言葉が使われます。どちらかというと今のスチームパンクという言葉にはフィクションのジャンルを示す言葉というより、そういったガジェットの雰囲気やそれらへの愛好を示す言葉といったニュアンスの方が強いかもしれません。

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Clockwork Quartet – стимпанк группа из Англии(Russia)
http://steampunker.ru/blog/clockworkquartet/124.html

 

 

 

スチームパンクは誕生した80年代から90年代にかけて世界中でブームとなり、今では西欧やアジアの諸国を中心に、世界各国に根強い愛好家=スチームパンカーが存在しています。日本にも80年代のSFブームに乗って輸入され、ハリウッド映画などを通じて大きく広まりました。また、スチームパンクのファンは単にスチームパンク的な映画や小説を楽しむだけでなく、自分でそういったガジェットやアクセサリーを製作したり、時計やテーブルといった日常にあるものにスチームパンク的な加工を施してそれを改造したりしています。そういった愛好家自らが積極的に作品を創造していくDIY的な側面もスチームパンクの楽しさのひとつになっており、蒸気機関という一言だけではくくれない間口の広さ、発想の自由さがスチームパンクの大きな魅力になっています。もっとも歴史を重視し、ヴィトリア朝のファッションを身に纏い、その中にあくまでも歴史的な要素としてスチームパンク的なエッセンスを取り込むタイプの愛好家もいて、そういう一派はスチームパンクとは分別されて俗にネオ・ヴィクトリアンと言われています。西欧人にとってのスチームパンク愛は19世紀への歴史愛、日本人の和装への憧憬に近いものもあるのかもしれません。ゴシックやロリータといったジャンルとも親和性の高いネオ・ヴィクトリアンもイギリスの他、西欧アジアを問わず世界各国にファンの多いジャンルとなっています。

 

 

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​photo by Gray Scott
http://photoandvideos.altervista.org/tag/gray-scott/?doing_wp_cron=1397869874.4209389686584472656250

 

 

 

スチームパンクはまだ出来て日の浅いジャンルの1つですが、そもそもスチームパンクという言葉ができる前から、スチームパンク的な作品というものは既にこの世に存在していました。スチームパンクがしばしば舞台にすることの多い19世紀の間に書かれたSF小説はその源流的な作品に当たります。

それらの作品はSFというジャンルそのものにとってもパイオニア的な作品に当たりますが、例えば1903年にイギリスで出版されたH.G.ウェルズの『タイムマシン』は、当時の機械装置を使って時間旅行することを描いた作品で、現代の目線から視ることで、そこに登場する架空の機械がスチームパンク的な要素を持っていることがわかります。2002年に作られたガイ・ピアーズ主演の映画版がその好例と言えるでしょう。

同様にフランスのジュール・ヴェルヌによって書かれた様々な冒険小説、『月世界旅行』『八十日間世界一周』『海底二万里』といった作品もスチームパンクの始祖、重要なアイデア源として知られています。この頃日本でも押川春浪の『海底軍艦』など多数の冒険小説が出版されており、こちらも和風なスチームパンクのアイデアの源流と言えるのかもしれません。

その後1980年代にスチームパンクという言葉が誕生するまで、ヴィクトリア朝を舞台にした歴史改変系のフィクション小説など、多数の先駆的な作品が生まれました。ウィル・スミス主演の有名なSFアクション映画『ワイルド・ワイルド・ウエスト』の元となるTVドラマ、『The Wild Wild West』も1960年代に放送が開始されています​。

スチームパンクの世界観を最初に世界に広く知らしめたのは小説家ウィリアム・ギブスンの『ディファレンス・エンジン』という作品だと言われており、この作品でギブスンは19世紀のイギリスでチャールズ・バベッジという科学者が当時構想していたものの結局は完成に至らなかった蒸気式のコンピューターが実際に完成し、現代の情報化社会が1世紀早く来た世界を描きました。

ここに過去の蒸気機関という文化と近未来の世界観を融合させるという最もオードソックスなスチームパンク的物語の土台が完成し、その後ショーン・コネリー主演で映画化された『リーグ・オブ・レジェンド』の原作アメリカン・コミック『The League of Extraordinary Gentlemen』が生まれるなど、多くの作品が世に広まっていくにつれその世界観も様々なジャンルへと浸透していき、スチームパンク以外の作品にもスチームパンク的なデザインが取り入れられるなど、SFというジャンル全体にも非常に大きな影響を与えました。1999年に公開された『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』もデザインなどの面でスチームパンクの影響を大きく受けている作品だと言えるでしょう。

スチームパンクが文化に与えた影響は大きく、国内外を問わずスチームパンクの影響を受けた多くの作品が生まれました。映画やアニメなど、ヴィジュアル面に訴えかけるものに特にその影響が顕著で、上述したいくつかの映画の他、『ライラ 黄金の羅針盤』『ヴァン・ヘルシング』『プレステージ』『シャーロック・ホームズ』シリーズ(ロバート・ダウニー・Jr主演)等が知られています。また『THE ORDER 1886』『RAGE』『サクラ大戦』シリーズなどスチームパンク的な世界を舞台にしたゲームもいくつか存在しています。『ファイナルファンタジー』シリーズのいくつかの作品もスチームパンク的な世界観を取り入れていることで知られています。

アニメでは大友克洋の『スチームボーイ』や、『LAST EXILE ラストエグザイル』シリーズ、『怪傑蒸気探偵団』などが知られており、宮崎駿の『天空の城 ラピュタ』や『ハウルの動く城』もスチームパンク的な作品として捉えられています。

スチームパンク的なガジェットを製作する作家も英米に集中していますが、どちらかというとヨーロッパはネオ・ヴィクトリアン的なスタイルに合わせたアクセサリーやマスクといった服飾関係の小物を製作する作家が多く、アメリカには蒸気機関車のミニチュアや可動式の家など、大型の蒸気機関ガジェットを製作する作家が多い傾向があるようです。ミュージシャンのボブ・ディランも大型のスチームパンク・ガジェットの制作者として知られています。日本国内ではアクセサリーや指輪など小物などの服飾系の作品に人気があり、一方で大型のガジェットを製作するクリエイターも一定数存在しており、アメリカとヨーロッパを合わせたような状況になっているようです。

 

 

 

 

 

 

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​Elf Fantasy Fair Arcen 2010, Steampunker – Martin

 

 

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​Tom Banwell Designs
http://www.tombanwell.com/#/steampunk-plague-doctors/

 

 

 

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​Kinetic Steam Works
http://www.kineticsteamworks.org/

 

 

 

Steampunk Hunting Jagd

Steampunk Hunting Jagd

Frau Hippe
https://www.facebook.com/FrauHippe

 

 

 

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​Tim Wetherell – Clockwork Universe
http://www.wetherellart.co.uk/sculpture_clockwork.html

 

 
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​Bob Dylan
http://gizmodo.com/hey-did-you-know-bob-dylan-is-a-steampunk-metalworker-1462363371

 

 

 

日本でのスチームパンクシーンは早くからSFブームなどの流れも相まって海外の作品が多く入ってきていた状況もあり、認知度は高い状態がずっと続いていましたが、スチームパンク的なファッションやガジェット、アクセサリーなどが流行り始めたのはここ最近になってからで、大正ロマンや江戸川乱歩作品などの醸し出す魅力と合流した、海外とはまた1つ違った独特の観点からの和製スチームパンクとも言うべき独特なシーンも生まれ始めています。煙都煌々は特撮ギター研究所( http://www.miwakazuki.jp )、新星急報社( http://shinsei.nu )、fengfeeldesign( http://www.fengfeeldesign.org )によるスチームパンクユニットで、オリジナルのスチームパンク小説をネット上で公開、さらにそこに登場する刀や銃といったガジェットを実際に作って販売しています。

五十嵐 麻理( http://steampunk.seesaa.net )はスチームパンク文化を中心に自作のガジェットや工作物などを紹介するブログ『スチームパンク大百科S』を立ち上げ、その中で家具やアンティークなどの室内装飾をスチームパンク風にアレンジする方法をまとめた書籍『ネオ・ヴィクトリアンスタイル DIYブック ホームズの部屋・スチームパンク室内装飾』を出版しています。

 

 

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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/476612653X/gensougarou0e-22/ref=nosim/

 

 

 

またStrangeArtifactは服飾ラインPoorman’sGoldLabel(プアマンズゴールドレーベル)も手がけており、牛本革の装備品をはじめ、「身に付けるだけでスチームパンク」をコンセプトにしたガジェットを多く販売しています。

 

 

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​Poorman’sGoldLabel
http://www.strangeartifact.jp/about-pmg.html

 

 

 

その他の国内スチームパンク作家としては、末吉時計と呼ばれる独自の時計の製作で知られる末吉晴男(http://www.eager-beavers.net/suekichi/tokei.htm)、コレル銃ことオリジナルのスチームパンク光線銃(スチームパンクレイルガン)シリーズを製作しているコレルリア(http://koreru.exblog.jp/)、”鉱山都市 GEAD City”という架空の世界観をモチーフにした作品を作るGEAD(http://www.geadcity.com)などが知られています。

 



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​末吉晴男『曜子と日出男』
http://ameblo.jp/chikyusaibuyer/entry-10896601912.html

 

 

 

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コレルリア 『VERONICA MK-1』
http://koreru.exblog.jp/

 

 

 

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GEAD 『Roodyペンダント』
http://geadcity.thebase.in/items/1747311

 

 

 

また、GEADは特撮ギター研究所の作家、三輪一樹が手がけるsteeldrops( http://www.steeldrops.org )ともコラボレーションしています。

煙都煌々は特撮ギター研究所、新星急報社、fengfeeldesignによるスチームパンクユニットで、オリジナルのスチームパンク小説をネット上で公開、さらにそこに登場する刀や銃といったガジェットを実際に作って販売しています。(煙都煌々: http://www.entokoukou.com/)

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クリエイター向けのスチームパンク関連の書籍はまだ少ないですが、スチームパンク東方研究所がグラフィック社から出版している同名のムック本が知られています。同シリーズは現在までに計4冊刊行されています。

スチームパンク東方研究所は現在日本国内におけるスチームパンク関連の最大のイベントであるスチームパンクの祭典『スチームガーデン』とも関わりがあります。同イベントはこれまで7回開催されており、日本のスチームパンクシーンを盛り上げる旗手として注目を集めています。スチームパンクのイベントとしては他に上述のStrangeArtifactが主催する日本蒸奇博覧会があり、こちらには上述の煙都煌々や特撮ギター研究所もOPEN HATCHシリーズで参加しています。
その他多くのスチームパンク作家がワンダーフェスティバルやデザインフェスタなど、日本各地で開催されるイベントに出展し自作のガジェット類を販売しています。

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